「縁起でもない話をしよう会」とは、医療や福祉に関わる方々と地元の人々が参加する、鹿児島にある妙行寺さんが発案された地域交流イベントです。
普段はあえて口には出さない「縁起でもない話」をみんなで語り合い、これからの人生をいかに生ききるかを考えるきっかけ作りの一つとして、東大阪プロジェクトでも継続的に開催しています。
今回は、管理栄養士の安田和代さんに「食の意志決定を考える」と題してお話をいただきました。
・嚥下障害・認知症の男性
・「みんなに迷惑がかかるからお雑煮は食べない」とわざわざ話される106歳女性
・胃がん術後、肺癌末期状態の80代男性
……など、誰もが持つ「食」へのこだわりや希望、不安などの物語を通して「食の人生会議はもっと身近に行われるべき」というのが講演の趣旨です。
全国各地から53名もの皆さまにご参加いただきました。
本当にありがとうございます。
前半は安田さんによるご講演
講演の様子は、配布資料をもとに動画をご覧ください。
※クリックするとPDFをご覧いただけます。
安田さんにお話しいただいた内容を、私なりにまとめてみました。
・食の人生会議はもっと身近に行われるべき
・そして、神経難病の患者さんこそ、早くから考えるべき。
・北澤彰先生(伊豆保健医療センター)は人生会議を「こころづもりはこころ変わりしても良い。こころ残りのないように」と説明されている
・患者さんとご家族は、疑問と不安を抱えたまま「これから先」を選択しなければならない
・選択を後押しするため、食の意思決定を支える「いーとかーど」を仲間と作成した
・自分の思っていることが全てではないと知り、多様な価値観を認め合うことが大切
後半は実際に『いーとかーど』を用いて、語り合う時間
まず安田さんから、「いーとかーど」活用のポイントについてご説明いただきました。
私たちは、元気なうちは好きなものを、好きな場所で、好きな人と食べることができています。
しかし、自分で自分の体を思うように動かせなくなる時が来るように、好きなものが食べられなくなることもあります。
自分が「食べること」について何を選択したいのかを、できれば元気なうちに考えておけるといいですね。
そうした「食の意思決定」を考えることができるツールを14人の仲間で考えました。
もしも主治医に「近いうちに食べられなくなる」と言われたら……という設定で、参加者それぞれが、「食に関する大切にしたいこと」を自分ごととして考えていただくシミュレーションゲームです。
語った内容はその場だけで共有され、もちろん外部に明かされることはありません。
テーマに沿って考えることで、自分が大切にしている「もの」「こと」「ひと」などが自然と整理され、食べられなくなるという「縁起でもない話」が出来たのではないでしょうか。
「食べられる」は当たり前ではない(参加者のご感想)
会の終了後、参加者のみなさまから感想をいただきましたので、いくつかご紹介させていただきます。
・元気な時(食べられているとき)から食べられなくなるときのことを考える大切さを学びました。食べるということを通じてのACP(人生会議)に対して、今まで病気になったことをきっかけに、ACPパンフレットをお渡しして話をするようにしていましたが、今日の情報提供から、「こころづもり」をまず尋ねてみる事、そして「こころがわり」はないですか?と問いかけてみて、「こころのこり」はないですか?と3ステップでの意思確認を行うことで、思いを共有しながら穏やかに過ごせるように支援できる一つの方法を学ばせていただきました。
・食べられなくなった時の栄養をどうするかについて考えるにあたり、『いーとかーど』はとても有益であると感じた。ターミナルケアにおいては、無理に食べるのではなく楽しんで食べる。という価値観が広がっていると感じるが、慢性疾患の場合はまだまだ個人差があることがよくわかった。早くから自分の意思を固め ACP が大切であるが、その時に直面しなければ決められない気持ちもあることが分かった。
・「食」の観点から最期の時を見据えて考える自分事。考えた事もありませんでした。慣れ 親しんだ料理や何か行事があった際に出される料理、親だけでなく祖父母の代で出されて いた料理を思い出す事ができました。楽しかったです。姉妹や両親と今度、食について話し てみようと思いました。
・口腔ケアの大切さを改めて感じました。今後の在宅訪問で、患者様に関わる人々との情報 共有の重要な項目として意識した活動を実施したいと考えました。・クイズ形式でカードを選択し、自分の立場が介護する側から受ける側になった時の事を想 定することで、いつも行ってきたことが本当に、その人に対してケアを行えていたのかと反 省することが多々ありました。またいろんな職種の方から、経験を通じたお話がきけたこと で、とても参考になるところがありました。
・食の多様性は認め合いやすい。人生会議のきっかけとしてとても良い。
・少人数のグループワークに参加させて頂くと、毎回新しい発見があります。食事の介助な んて、ただ隣に座って食べさせてあげればいいのではと眺めていましたが。一口の食べる量 も、次の物を口に入れてあげるタイミングも、人それぞれなんて考えたこともなかったです。
次のような応援のメッセージも届いています。
・今回初めて参加させていただきました。大切なことだと本当に思います。近いうちに母と人生会議をし、書面に残し、もちろん変更することも伝え、その書面を姉たちにも共有する予定です。まず食事の話からはじめようと思いました。
・参加した後、いつも心がほっこりとしています。コアメンバーの皆様の熱い思い、綿密な準備により、今私たちが考えるべきこと、取り組むべきことの方向性のようなものを示され、明日から頑張ろう、私にできることは何かな…と刺激をいただいています。病院の入退 院支援室で、入院の支援、退院の支援をしている仲間にも報告しています。焚火に火をつけているのですが、炎にまでならず消えてしまう現状ではありますが、何とか燃え続けられる よう、研修を通して、私自身に火をともしていただいて、現場に届け続けたいと思っています。今後も参加続けていきたいです。よろしくお願いします。
・東大阪の意識の高さが素敵です。会の初めのお話のように「自然」に温かな関わりができ て、皆が支え合い助け合える理想に力強く前進していけますように!全国のモデルとなって発信してください!
つなぐというよりももっと自然に顔が見えるような関係を築き、
お互いに気軽に相談できる 『誰もが主役の街』を目指して、
東大阪プロジェクトはこれからも講演会・研修会を定期的に開催していきます。
ぜひご参加ください。
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
まちカフェ@東大阪プロジェクト・第2回(参加有料)
リアルでも顔の見える関係を築きませんか?
>>どなたでも参加いただけるイベントです<<
【申し込み】
https://88auto.biz/higashiosaka/registp/entryform28.htm
暮らしを支える皆さま(医療・介護・福祉に限らず)が集うトークカフェイベントです。
懇親会もあり、意見交換、お悩み相談、名刺交換など自由にお話しいただけます。
\\こんな方の参加をお待ちしています//
・両親、パートナーの「もしも」のこと、たしかに考えるきっかけがほしい
・今回の記事を読んで興味は湧いたが、いきなり家族で話し合うのは不安
・終活の必要性はわかるけど、誰と話し合えばいい?何から始めればいい?
「恥ずかしい…」「私なんかが参加しても…」と思った方こそ、参加歓迎です^^
アットホームに家族やご自身の将来のこと、一緒に考えてみませんか?
話題提供:ACPと切っても切れないお金の話(司法書士 福村雄一先生)
日時:令和5年4月7日(金) 17時30分~19時
場所:藤田珈琲 the ROASTERY Lab. (住所:大阪府東大阪市高井田1-20)
定員:40名程度
参加費:2,000円(珈琲・お土産[無添加高級生食パン1斤+ドリップバッグ]付き)
定員までまだ若干お席の余裕がありますが、リアル開催のため定員以上の参加はできません。初めての方でも気軽に参加できます。
ぜひお越しください。
※お土産の準備がございますので、不参加となる場合は、前々日(4月5日)までに必ず事務局にご連絡ください。