看護師・川邉綾香

穏やかになれる「いばしょ」そんな場所を作りたい~I for You Japanがん遺族の集いin箕面に参加して~

大切な人が亡くなった後、ご家族の悲しみは続く

かわべクリニックでは今まで

  • いかに穏やかにその人らしく最後まで生ききることができるか
  • 私たちがどのように支えていくとよいのか

真の多職種連携について考え、実践してきました。

同じくらい大切な存在である患者さんを支えている家族、友人のケアにも注力したいと思い、かわべクリニックではグリーフケア(悲嘆ケア・遺族ケアなどとも言います)の一環として、49日と1年が経過したころに「グリーフカード」をご家族にお送りしています。

お返事にお手紙を返してくださる方、お電話をくださる方、クリニックに足を運んでくださる方などさまざまです。

お返事がある場合はお手紙の内容や声、表情からその後の様子を少しでも伺い知ることができます。しかしお返事がないため、その後の様子が気がかりなままのご家族もいらっしゃいます。

数多くの在宅看取りを行う中で、残されたご家族さんへのケアをいかに行うと良いのかを考えてきました。

会場のみのお市民活動センター

そのヒントを見つけるために先日、「I FOR YOU がん家族サロン in箕面」に、東大阪プロジェクト代表である福村雄一先生、看護師の北村大治さん、社会福祉士の田中宏幸さん、かわべクリニック院長の川邉正和院長とともに参加させて頂きました。

ご招待いただきました 森一郎先生はじめ、サポーターの皆さま、本当にありがとうございました。

当日の集合写真

 

すぐにでも “いばしょ” を整える必要性を感じた

「小さい規模でも良いから、すぐにでも各地で同じような催しを開催すべき」だと強く感じました。残された家族のみなさんには悲しむ場所が必要です。ここに来てもよいと感じることのできる「いばしょ」が必要なのです。

※「I FOR YOU」の紹介はこちら

参加されていたご遺族の中には、このような方もいました。

パートナーを亡くして1週間。
愛犬との二人暮らしが始まったが、これからどうやって生きていけばいいかわからない。

同じように大切な方を亡くした境遇の方と出会って、「この苦しみと向き合う方法を教えて欲しい」と参加された方。
また別の方は、

パートナーを数ヶ月前に亡くし、仕事に追われる日々で悲しむ時間もなく過ごしてきた。この場で、パートナーを思い出して涙したい、ゆっくり想いを巡らしたい。

と参加の動機を教えてくれました。

パートナーを亡くして1年が経ったが、コロナ禍の病院での看取りであったため、面会も思うようにできないまま別れなければならなかった。
もっと話したかった、もっと同じ時間を過ごしたかった。会いたかった。

と後悔を言葉にされる方もいらっしゃいました。

そしてパートナーを亡くして数年が経過し、当初は遺族として参加していた方が、現在では同じ立場のご遺族を支える立場になられている方もいらっしゃいました。

初めて来られた方は、不安そうに会場に入られます。
スタッフに案内されて、着席されるとサポーターがそばにつき、「沈黙」から気持ちの整理が始まります。

そして、今話したいことが溢れでて、涙する姿が見られました。

参加された方にとっては、かけがえのないとても大切な時間であり、場所であったことでしょう。
それぞれの悲しみを抱えた方が、自由に話せる居場所、悲しみを吐き出しても許される居場所を求めているのがとても強く感じられました。

参加者からお聞きしたのは、
・話を聞いてもらえるだけで嬉しい
・悲しんでいるのが自分だけでないのがわかった
・普段は話せる場所がない
・心の底から思い切り泣ける場所がない
などでした。

会場の様子

別れも愛の一部です

大切なその人がいなくなってから初めて、自分にとってどれほど大切な存在だったか気づくことがあります。すべての方に当てはまるわけではありません。もちろん生前から亡くなった後も、ずっと大切な想いを持ち続けている方もいらっしゃるでしょう。

「別れ」も愛の大切な一部なのです。

その愛をしっかり繋いでいくためにも、「家族サロン」を東大阪でも、各地でも開催できるようにしたいです。
一度きりでなく定期的なものに、そしてあの場所に足を運べば、心から悲しみを表せる場所として存在したいと思います。

今年の秋には「東大阪プロジェクト」の皆さんとともに、東大阪にもこのような「いばしょ」となる、がん遺族サロンを立ち上げたいと心から思っています。

桜舞い散る季節

咲いた桜が散るように、別れは必ず訪れます。
医師として、看護師としてだけでなく、同じ地域で暮らす仲間として別れを惜しみ、悲しみを分かち合える関係を作っていきます。

 

【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

看護未来展2023にて特別講演します

大阪府看護協会さまよりご依頼を受け特別講演の機会をいただきました。

なんと会場:国際会議ホールの定員は300名(感染対策のため180名に制限)です!

一般の方もたくさん参加される機会なので
「後悔を感じないためのACP(人生会議)の実践法」
について事例を用いて、わかりやすくお話しさせていただきます。

リアル開催のみですので、事前申込みをいただき、会場で温かいご声援を届けていただけたらとても心強いです!

【セミナー申し込み】
https://www.tvoe.co.jp/bmk/seminar/app/
(参加費無料)


(画像をクリックすると拡大表示されます)

SP-09
「自分らしい生き方とは」ともに考える人生会議
・元気なうちに「人生の最期」を考えるACP(人生会議)
(医)綾正会かわべクリニック 看護師 川邉 綾香

会場:インテックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)
日時:令和5年4月21日(金)15:00~16:30
定員:180名(事前来場登録制)
入場料:無料
主催:大阪府看護協会・大阪府訪問看護ステーション協会・テレビ大阪
対象:どなたさまでも

 

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