6月28日の土曜日、カトリック布施教会にいつもとは違う熱気が漂っていました。この日開催したのは、プレゼンターのチャレンジをアイデアで応援する『越境ブレスト』。東大阪の枠を超えて、泉北・泉南・八尾から67名もの方々が集まってくださり温かな期待感とともに会がスタートしました。
越境ブレストとは
「越境ブレスト」とは、地域の境界線を越えて集まった仲間たちが、プレゼンターの抱える課題やチャレンジに対して、ブレーンストーミング(ブレスト)の手法を使ってアイデアで応援する取り組みです。批判や評価ではなく、「どうしたらもっと良くなるか」「こんなアイデアはどうだろう」という前向きな発想で、みんなでワイワイと知恵を出し合います。
普段は異なる地域で活動している人たちが一堂に会することで、それぞれの地域の特色や経験を活かした多様なアイデアが生まれるのが特徴です。また、ブレストを通じて参加者同士が自然とつながり、新たな協力関係や友情が育まれる場でもあります。「越境」という名前には、地理的な境界だけでなく、職種や年齢、立場の垣根も越えて、みんなで支え合おうという想いが込められています。
今回の主役は3つの地域
泉南、堺、八尾の3つの地域へと越境し、各地域の皆さんと連携して実施するアイデア会議です。みんなで地域課題解決の方法をアイデア出しで後押しするという地域活動は、神奈川県鎌倉市の「カマコン」から始まり、全国各地へと広がっているそうです。
進行役を務めてくれたのは、遠く鎌倉からお越しいただいたカマコンの中心メンバーでもある宮田正秀さん、愛称「モグタン」。そして、東大阪プロジェクトが誇る福祉のスペシャリスト、ぼうちゃん(坊下太喜さん)とさんちゃん(三宝伸一郎さん)のお二人が、この特別な一日を支えてくれました。
東大阪プロジェクトがなぜ「越境」したかったのか
2018年12月に産声を上げた「東大阪プロジェクト」。あれから約7年が経ち、ありがたいことに2025年度は110名のコアメンバーとともに歩んでいます。私たちの想いは、まるで水面に投げた石の波紋のように、緩やかに、しかし確実に広がっているのを実感しています。
そんな中で生まれたのが、今回の「越境」というコンセプトでした。地域の境界線を越えて賛同してくださる方々が増えている今だからこそ、3つの地域の皆さまが抱える課題を、ブレーンストーミングの力、そしてアイデアで応援したい。そんな想いから、この日が実現しました。
<1>泉北を最期まで住みやすい街へ
トップバッターは、堺市のケアマネ、かみちゃんこと上野秀香さん。「自分らしく生き、住み慣れた地域で最期を迎えたい」というテーマで、心に響くプレゼンテーションを披露してくださいました。彼女の想いの深さは、ぜひ動画でその生の声を聞いていただければと思います。
上野さんが求めているのは、住民に愛され、開かれた運営。そして、一人ひとりが自分ごととして考え、本音で語り合える「真の仲間あつめ」のためのアイデアでした。
<2>八尾で動き出した、隙間にいる人を支援する試み
2番目に登壇されたのは、八尾から来てくださった髙松達朗さん。「総合福祉支援サポート」をテーマに、制度の隙間で困っている人たちへの想いを語ってくださいました。こちらも、ぜひ動画でご覧ください。
髙松さんが求めているのは、「隙間」にいる人たちを助けるアイデアです。自分の利益のためではなく、相手を思いやり、相互扶助の視点で支え合える仕組みづくりを実現するためには…どうやってセーフティネットを張り巡らせるか? なかなかの難問です。
<3>泉南発!地域を盛り上げて医療・介護を身近に感じてもらう
3番目のプレゼンターは、泉南から田中竜一さんと竹下みちよさんのお二人。「わが街、南大阪を熱い仲間と盛り上げたい!!」というテーマで、地域への愛と情熱を語ってくださいました。
お二人が求めているのは、「医療・介護・福祉」という言葉を使わずに「医療・介護・福祉」を感じてもらう運動会のアイデア。そして驚くことに、すでに11月2日(日)の開催が決定しているという、その実行力にも感動しました。
アイデアの花が咲いた、ブレストタイム
いよいよブレーンストーミングの時間です。進行役から丁寧にブレストの流れとコツを説明していただいた後、参加者の皆さんの創造力が爆発しました。各プレゼンテーションに対して、なんと200個を超えるアイデアが生まれる熱狂ぶり。その瞬間、会場は創造性と可能性に満ちあふれていました。
最後には、温かな拍手とともにアイデアの贈呈式。プレゼンターの皆さんの笑顔が、この日の成功を物語っていました。そして、それぞれが次の一歩へ向けて、新たな決意を胸に刻んでいる様子が伝わってきました。
仲間になっていく瞬間
懇親会には、参加者のほとんどの方がそのまま参加しました。ブレストを終えたとき、会場にいる人たちが自然と仲間になっているのが、手に取るようにわかります。最初は初対面だった人たちが、いつの間にか同じ方向を向いて歩む仲間になっている。これこそが、ブレストの魔法なのかもしれません。
意見ではなく、アイデア。批判ではなく、応援。そんなブレスト文化を、私たちはゆっくりと、しかし確実に東大阪の地に根付かせていきたいと思います。今回の「越境ブレスト」は、その大きな一歩となったのではないでしょうか。
参加してくださった67名の皆さま、本当にありがとうございました。そして、これからも一緒に歩んでいきましょう。
