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スタジアムに入る前に棺桶へ入ろう!? FC大阪とのコラボ『いのちのフィールド』が画期的すぎた

2025年9月15日、ラグビーの聖地・HANAZONOに東大阪プロジェクトが、2年ぶりに帰ってきました。

ここを本拠地とする明治安田J3リーグ、FC大阪の試合前、広場に立ち並んだ異色のブース。たこ焼きやビールを売るでもない、人生とは何かを問いかけるブースの数々。

「スタジアムに入る前に棺桶に入りませんか?」ちょっと何を言っているのかわからない。スポーツ観戦の前に人生の終わりについて考える、前代未聞のコラボレーションです。

格安航空券を握りしめて同日昼に伊丹へ降り立った、東大阪プロジェクト広報担当・かもちゃんが、現場から東大阪プロジェクトの新たな挑戦をレポートします。

2週間ぶりの東大阪へ──この目で確かめたかった理由

2025年9月15日は、たしか敬老の日。東大阪プロジェクトのメンバーとして、花園ラグビー場で行われる特別なイベントをこの目で見届けたかった私は、2週間ぶり人生2回目の東花園駅に降り立ちました。

それにしても暑い。真夏のピークが去ったと天気予報士がテレビで言ってたような、言っていないような。最高気温33度という厳しい残暑の中、会場の集合時間は午後0時半でした。FC大阪の試合が始まるのは午後5時なので、実に4時間半前。もう暑さの盛りでした。

まだ何も始まっていない空間に、テントとテーブルが運び込まれ、お揃いの水色のTシャツを着た集団の準備が始まるところでした。「スタジアムに入る前に棺桶に入ってみませんか?」──そんな呼びかけが、サッカー観戦に訪れた人々を驚かせ、そして立ち止まらせる直前の準備です。

なんで2週間前も花園へ来たかと言えば、後述しますが11月に行われる「医療デザインサミット2025・エンディングデザイン」の協賛企業を探すため。その営業活動も、僕の中ではこの日の伏線になっていたように思います。活動は連続的に。ご利用は計画的に。

駅前の小さな出会いが、スタジアムの大きなコラボへ

このプロスポーツチームとの異色コラボレーション、昨年10月に河内永和駅前で開催された「え〜なぁEIWA EXPO2024」がきっかけでした。東大阪プロジェクトが主催したこのイベントに、FC大阪がキックターゲットのブースを出展。あの日の盛り上がりを目にしたFC大阪さんの営業担当の方から、「東大阪プロジェクトを一緒に盛り上げたい」という熱心な申し出があったのです。

「テントを自由に使っていいので、ぜひ盛り上げてほしい」

その言葉を受けて実現したのが、今回の『いのちのフィールドEXPO 2025 in 東大阪』。「私たち」東大阪プロジェクトは、なんと11ブースを展開し、45名のメンバーが水色の特製Tシャツを着て会場を盛り上げました。

総勢11ブース、いい意味で勝手に動き出す

11ブースの配置にも(たぶん)意味があって、東花園駅に最も近い、つまり多くの来場者が最初に目にするのは胎内体験。「“産まれる”をもう一度」を掲げたブースに始まり、終点が棺に片足を…ではなく両足と体全体を突っ込む納棺体験。

つまり生から死を一日で体験するような、そんな流れができていました。

  • 胎内体験
  • 溶けないアイス
  • マイライフプラン玉手箱
  • フットケア相談
  • 青空保健室
  • いろどりさんかく(おむすび屋)
  • 東大阪縁日部
  • 枝豆コロコロゲーム(八尾プロジェクト)
  • 未来へのパス(エンディングノート展示)
  • 納棺体験

構想から約2ヶ月で、10を超えるブースが勝手に動き出すという事実こそ、この東大阪プロジェクトの猛スピードでの進化を表しています。2年前に大阪万博を盛り上げようと市が主体となって開催したHANAZONO EXPOの時は2ブース、昨年の河内永和駅前での6ブースと比較すると、数が増えただけでなく、テキパキと手慣れた様子で準備が進むのに驚きます。

いんちょが「場所を段取りしただけ。誰がどう準備しているのかは知らない。みんな勝手にやってくれるもん」との言葉が象徴的。責任と自由と、いとしさとせつなさと心強さとみたいな、程よいバランスがこの空間を生み出しているんですね。

400個が1時間で完売!予想を超えた反響

暑さにめぐまれたこともあってか? アルフレッサさん協賛の「溶けないアイス」試食ブースの盛況ぶりは、すごかった。用意した400個のサンプルが、なんとキックオフ1時間前には完全配布終了。嚥下に難があってもアイスなら食べられる人が多くいます。しかしすぐ溶けてしまうと、服も汚れやすく、介助する側の負担も大きくなってしまう。そんな弱点を解決しようと、アルフレッサさんが2年あまりも試作を繰り返して開発したのだそう。

いんちょ自らが道行く人に声をかけると、次々にお客さんが来るようになり、さらには多くの人が東大阪プロジェクトの他のブースにとっても呼び水となったように思います。

肝心のアイスは、ヨーグルト風味で美味しい! 栄養価も高いそうで、たしかにスプーンの上で炎天下の日光にさらしているのに溶けない! まわりが溶け出すと止まらなくなるのだそうで、いかに溶出(ようしゅつ)させないかにこだわったと仰っていました。(表現が微妙に間違っていたらすみません)

私も試食させてもらったのですが、この時にアップの写真を撮り忘れ、後からもう一度撮影させてと頼みに行ったら、もう配布終了でした。恐るべしです。

11月9日の医療デザインサミット@大阪樟蔭女子大学にも協賛をいただいていますので、気になる方はぜひ会場へ。薬局でも販売される見込みです。

「入ってみませんか?」積極的な呼び込みが生む対話

印象的だったのは、各ブースの代表者たちの積極的な呼び込みです。

「スタジアムに入る前に、棺桶に入ってみませんか?」 「マイライフプラン玉手箱を体験してみませんか?」

普通なら躊躇しそうな体験への誘いに、大阪の人々は意外なほど素直に応じていきます。FC大阪サポーターの親子がフットケアを楽しみ、若いカップルが棺桶体験の写真を撮り合う。スポーツイベントといえば、ビールや焼きそばといった飲食ブースが定番の中、健康や人生について考えるブースは確かに異色でした。しかし、その珍しさこそが人々の好奇心を刺激したのかもしれません。

地域密着型スポーツが見せた新しい可能性

この光景を見ながら、私は地域密着型プロスポーツチームと東大阪プロジェクトの相性の良さを強く感じました。どちらも「地域を盛り上げ、共に地域の輪をつないでいく」という共通の理念を持っています。人口減少が進む地方都市において、スポーツチームも医療・福祉も、地域コミュニティの核となる存在です。

私たち東大阪プロジェクトが掲げる「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える~穏やかなエンディングをみんなで~」というクレドは、まさにスポーツが持つ「人と人をつなぐ力」と重なります。

すっかり恒例になった「つながる」ポーズ。僕も初めてリアルの場面で参加できました!

暑さにも負けない連帯感

33度の猛暑の中、水色のTシャツを着た44名の仲間たちに疲れた様子はありません。むしろ「少しでもみんなに知ってもらいたい、体験してもらいたい」という純粋な熱意が会場全体に伝わっていきます。

2018年にスタートした東大阪プロジェクトが、コツコツと積み重ねてきた活動の成果と口で言うのは簡単ですが、医療・介護職だけでなく、司法書士、税理士、葬儀会社、神父や住職まで多様な職種が「真の地域包括ケアシステム」を目指して集まり、活動を続けてきた事実に頭が下がります。

その輪が、ついにプロスポーツチームにまで広がった1日だったと思います。

イベントの価値をちゃんと体感したいと思った私は、イベントがはじまって1時間ほどが経ったときに自ら「棺桶」に入ることを決意します。後編では、私が棺の中で見たもの、そして東大阪プロジェクトが11月に仕掛ける次なる挑戦「医療デザインサミット2025」についてお伝えします。

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