「いのち」と向き合うケアの先にあるもの
心に残った“生と死のデザイン”
医療デザインサミット2025 in 東大阪。
今回のテーマである「さいごの授業」に参加し、
“生と死のあり方”について、深く心を動かされる体験となりました。
デザインとは、日々の創意工夫。
それは、医療現場だけでなく、人と人が向き合うすべての場面で必要なものだと思います。
観察力、共感力。どちらもケアにおいて欠かせない原点です。
そして、「死=壮絶で怖いもの」というイメージを超えて、
死をどう受けとめ、どう語り合うか――
多様な価値観に触れる貴重な機会になりました。

いちのせ かつみ先生の授業:笑って生きるも人生
ファイナンシャルプランナーのいちのせかつみ先生による「さいごの授業」。
ご自身のご家族(母の死、娘の病)、そしてご自身の闘病という体験をもとに、
「命」や「お金」「時間」とどう向き合って生きるかを語ってくださいました。
笑って生きるも人生、泣いて生きるも人生。
同じ人生なら、笑わな損。
ユーモアの中に、あたたかい決意が込められていて、心に残りました。
「お金も、命も、時間も、“どう使うか”で幸せにも不幸にもなる」
という言葉には、医療に携わる者としても深くうなずくところがありました。
人生100年時代。何を大切にして生きるのか――あらためて考える時間となりました。

池永 昌之先生の授業:死にゆく人から“生き方”を学ぶ
ホスピス医としての長年の経験を持つ池永昌之先生の「さいごの授業」。
一言ひとことが穏やかで、深く、静かに染み入る講義でした。
ケアとは、支えること・寄り添うこと・背負うこと。
死を前にした人との関わりを通して、
「ケアする側が、いつの間にかケアされている」という気づき。
苦難の中に「意味」や「成長」が生まれる
Post Traumatic Growth(苦難を通した成長)という考え方にも心を打たれました。
そして、先生が紹介してくださったある方の言葉――
「迷惑かけてありがとう」
この言葉が言える強さ、そして言われるような人間でありたいと、心から思いました。
今後、私自身も、関わる方々にその姿勢を示していきたいです。

死を学ぶことは、生を学ぶこと
「命の終わり方をデザインすることは、今をどう生きるかをデザインすること」
サミットを通じて、あらためてその意味の深さに気づかされました。
今回学んだことは、私の医療現場でのケアにも、
日々の暮らしや関わりにも、必ず活かしていけると感じています。
これからも、いのちと向き合いながら、
“生ききる”を支える理学療法士でありたいと思います。

理学療法士 喜田剛史さん(大阪府大阪市)