エンディングノートとともに歩んだ、介護士としての再出発
◆ 出会いは、1本のご縁から
医療デザインサミット2025「さいごの授業」のことを初めて聞いたのは、
今年5月にかわべクリニックを訪れたとき。
いんちょ(川邉先生)からその想いを聞いた瞬間、
「これは絶対に行きたい。聴きたい」と、強く思いました。

◆ 突然見つかった“しこり”と、心の動き
そんな矢先の6月、胸にしこりのようなものを感じ、市の乳がん検診を受けました。
そして数週間後、届いたのは“再検査”の通知。
結果が出るまでの約3か月、頭の中ではさまざまなことが巡りました。
- 書きかけのエンディングノートを整理し
- 担当しているご利用者の引き継ぎ先を考え
- 衣類や日用品の整理をはじめ
- 「会っておきたい人たち」に連絡をして会いに行きました
自分の人生を振り返りながら、
「やりたいことはやってきた」と思えたこと。
そして、ここまで多くの方々に支えてもらったことへの感謝。
私の人生は、恩返しと恩送りのためにある——
そんな想いを、再確認する時間でもありました。
※結果は“がんではありませんでした”が、この体験があったからこそ、
今回の「さいごの授業」はとても重く、深く心に響くものとなりました。

◆ 雨の朝に、心がほどけた瞬間
当日はあいにくの雨。
でも、会場近くの川に流れる落ち葉や、雫が落ちる音に耳を傾けていると、
日々の慌ただしさを忘れ、自然と心が落ち着いていくようでした。
会場に早めに到着すると、井尻先生が優しい笑顔と言葉で迎えてくださり、緊張がすっとほどけていきました。
やっぱり、「言葉は緊張も心もほぐす力がある」と、あらためて実感しました。

◆ スタッフとして参加して、感じたこと
今回はスタッフとしての参加。
初対面の方も多かったのですが、会場はとても温かな空気に包まれていました。
職種も地域も違うのに、なぜこんなに一体感があるのか。
それは、お互いを尊重し合い、「想い」を共有しているからだと思います。
それぞれの強みを活かし合える場所、そんな場にいられることが嬉しかったです。

◆ 心に残った “さいごの授業”
◎ いちのせかつみ先生の講義から
「生きてるだけで丸儲け」——だから、笑って生きなきゃ損。
お金は幸せになるための“道具”であり、使い方次第。
“人生の幕引き”に必要なお金や準備の話を、ユーモアを交えて教えてくださいました。
◎ 池永昌之先生の講義から
「病気=マイナス」ではなく、そこから人は変われる。
苦難を経て得るものがある。
歳を重ねたときに必要なのは、ユーモアと可愛げ。
「迷惑かけてありがとう」——その言葉を言える強さを、自分も持ちたいと思いました。
それぞれの先生が伝えてくれた、
愛情とユーモアのある“いのちの授業”。心にしっかりと刻まれました。

◆ “全部自分ごと!”だった越境ブレスト
越境ブレストでは、
「アイデアを出す→共感する→反応する」この循環がとても心地よく、ポジティブな嵐が巻き起こっていました。
どのアイデアも「他人事」ではなく「自分事」として考えられる空気がありました。

◆ そして、最後に思ったこと
協賛企業のみなさんのプレゼン、美味しいランチ、そして何より会場のあたたかさ。
ご来場者の皆さんに至らない点もあったかもしれませんが、
帰るころには、みなさんの笑顔があふれていて、
「あぁ、本当に素晴らしい会だった」と心から感じました。

◆ 私にとっての「東大阪プロジェクト」
私にとってこのプロジェクトは、“水”のようなものです。
乾いた心をそっと潤し、分かち合う喜びを思い出させてくれる存在。
これからも仲間と一緒に学び、刺激を与え合い、
そして、恩送りをしていきたいと思います。
介護士 成田 恵子さん(神奈川県小田原市)