毎年、開催している東大阪プロジェクト発の「地域連携緩和ケア講習会」を今年はオンラインとリアル開催のハイブリッドで盛大に開催できました。
講師の皆様、ご参加いただいた皆様、共催・協力という形でご協力いただいた大阪府健康医療部、布施医師会、大阪府看護協会、マルホ株式会社様に厚くお礼を申し上げます。
東大阪発!その人らしい豊かな人生を支える地域をつくる
今回のテーマは「東大阪発!その人らしい豊かな人生を支える地域をつくる」です。
全国各地からオンラインで257名、現地参加がスタッフ含め78名、総勢335名のご参加をいただきました。
集合形式が可能となってから初めてのハイブリッド形式の講演会ということもあり、どのくらいの方が会場にお越しになるのか心配でしたが、予想を上回るご参加をいただきました。
また講演会終了後の懇親会が盛り上がったことは言うまでもありません。
第1部・人生会議で患者さんと未来をデザイン
いつも東大阪プロジェクトの講演会では「実践者が語る」ことを大切にしています。
第1部では、人生会議の実践者であるかわべクリニック看護師・川邉綾香さんが「人生会議で患者さんと未来をデザイン~ナビ役には医療者が最適~」と題して講演しました。
座長には、綾香さんが大阪赤十字病院勤務時代に看護部長としてお世話になった弘川摩子さん(大阪府看護協会会長)に務めていただきました。(写真・左)
そもそも人生会議はどうしても「縁起でもないから」と先延ばしされやすく、潜在的に向き合いたくない話です。
では、どのタイミングで行うのと良いのか?
この講演にはそうしたヒントが満載で、実践してみようと思わせる講演になったのではないかと思います。
「タイミング」について参考にしていただきたいので、以下の動画を視聴いただけると幸いです。
<講演の前編>
<講演の後編>
皆さまから第1部に対して寄せていただいた感想の一部を紹介します。
[su_box title=”【感想】(一部抜粋)” style=”bubbles” box_color=”#f2bdd3″ title_color=”#000000″ radius=”10″]
- とても意義のある活動をされていることに、感銘を受けました。プレゼンテーションは具体性があり、行われていることとその結果が明確で、利用者の利益につながっていることがわかりやすくつたわってきました。聞いている私もエンパワメントされました。ありがとうございました。
- 人生会議について、どのタイミングでおこなうなか難しいですが、まずは、自分の家族、姉妹母親で話し合い、また、利用者様にも、家族で話していただけるように人生会議をひらめたいと思います。わかりやすい事例で参考になりました。
- 人生会議は何度も聞かせて頂いていますが、事例を用いて話しを聴いたのが今回初めてだったので、とても良く理解できました。
- 大阪府がACPを府レベルで考えていることが羨ましく思えた。ACPに向けてというよりALPの段階からのかかわり、健康なうちから生活を支えるのはとても大切なことで、腑に落ちた。貴重な話が分かりやすく聞きやすかったので、まだまだ聞きたいと思った。
[/su_box]
たくさんの反響を寄せていただきました。
第2部・在宅医療の情報連携がうまくいかない理由
第2部では、かわべクリニック在宅医の川邉正和院長がお話しをしました。テーマは「在宅医療の情報連携がうまくいかない理由」と、ややスパイスの効いた設定です。
よくある勘違いとして「ICTを導入すればうまくいく」ということが在宅の現場で起きています。しかしICT導入はただの手段であり、目的ではありません。より大切なことは、患者さん、家族さんの目標を設定し、医療・介護・福祉従事者がベクトルを整えて支えていくことです。
そのためには、「人とまちと医療が心地よい関係」にあることがポイントであり、川邉院長が目指す町の姿について説明しました。
・医療がそこに自然にある感じ
・各々の職種が持つ「強み」を活かす
・お互いに気軽に相談できる 『誰もが主役の街』
「できないと諦めることなく、地域包括ケアシステムという言葉が要らなくなるような街を目指したい」と強調して、講演を締めくくりました。
この内容も以下から動画でご覧いただけます!
第2部も高評価をいただくことができました。感想の一部をご紹介します。
[su_box title=”【感想】(一部抜粋)” style=”bubbles” box_color=”#f2bdd3″ title_color=”#000000″ radius=”10″]
- ICTの活用については以前河内医師会でも話しを聴き、普及していると思っていました。しかし、それが結果として介護の対応をする私たちまでは普及せずに終わったのだと知りました。出来れば普及して東大阪市に住まわれる方は少しでも安心して生活できる様になればと思います。
- ICTが整備されることによる可能性のひろがりを感じることができました。それでもやはり関わる個人や事業所の意識の高さが大きく影響すると感じました。
- 最初の動画で瞬間こそは映されなかったものの、人が亡くなる直前・直後の時間を初めて見ました。あまりにも突然で「このようなことはあるのか」と驚きました。長女さんの言動から看護師や医師と良好な関係を築き、患者さんの思いを遂げられたのだと思い、私も少しでもこのような看護ができるようになりたいと思いました。
- 「自分だけで抱えず、専門職に任せる」話が印象的でした。それが患者さんを取り巻く地域包括ケアシステムの構築につながり、チームで目標に向かって支えることにつながるのだと思いました。
[/su_box]
第3部・ICT(ワンチーム東大阪)を用いた連携
第3部は、ICT(ワンチーム東大阪)が役に立っている皮膚疾患を具体例にして、うまく連携できている皮膚科医・中川裕美先生(中川医院)、訪問看護師・平賀愛与さん(訪問看護ステーションありく布施)、訪問看護師・東絵理さん(かわべクリニック)のお三方が登壇しました。
「ICT(東大阪ワンチーム)を用いた連携〜皮膚科医×在宅医×訪問看護師〜」と題した講演では、皮膚疾患(あかつき病)をもとに、各々の職種がどのように関わり、連携したのかを紹介していただきました。
アーカイブ配信はないため、特別に当日のスライドを用意しました。
[su_box title=”【感想】(一部抜粋)” style=”bubbles” box_color=”#f2bdd3″ title_color=”#000000″ radius=”10″]
-
- 東大阪チームでの患者支援の実際は、現在の職場でも体験しているところで、感動しながら視聴させていただきました。訪看が現場で困惑しながら、支援されている姿に「頑張ったね!」と拍手しています。チームで取り組み、支援していく困難を乗り越える姿に感動しました。個人情報の管理についても、現在の運用でいいか考えるきっかけになりました。
- ターミナルケースだけではない連携についての紹介をした下さり、とても参考になりました。
- スキントラブルの患者さんに対してチームでの取り組みが素晴らしかったです。在宅ケアでの大変さが共感できました。連携がスムーズに取れることは大切ですよね。
[/su_box]
3つの講演を通したテーマとして伝えたかったことは、患者さん、家族さんの思いを聞かずに「無理」と決めつけてしまいがちな医療介護従事者の存在に気付いてほしいということです。
患者さんの健康や幸せな生活を守ることが使命であるはずの私たちが、バリア・障壁となるのは本末転倒ではないでしょうか。
それではバリアや障壁にならないためにできることは何でしょうか?
切れ目のない地域連携体制を作るために私たちができることは何でしょうか?
事例を通して一緒に考える機会を作りたいと思って、今回のプログラムを企画しました。
[su_box title=”【全体を通しての感想】(一部抜粋)” style=”bubbles” box_color=”#e6e6fa” title_color=”#000000″ radius=”10″]
-
- いままでもいろんな主催のACPについての研修会に参加をしてきました。人間として、ケアマネとてしてこの人生の最期の場面をどの要に向かえ、どのように支援すべきなのか…多々の当該研修を受講する事で、少しずつ自分自身の体にしみこませていきたい…且つほんの少しずつでも、違ったとらえ方についても認識を深めていきたいと思っています そんな意味でもとても参考となる研修会でした。
- 会社を立ち上げて初めて参加したのがこの研修会でした。1〜3部の講演は1回も眠たくなることがなく、気づけば終わっていたぐらいに内容も話し方なども惹きつけられました!楽しく勉強できるってこういうことかと。
- 地域でつながっていくには、自分に今より情熱が必要だと感じました。ずっと画面上で勉強させていただいていた川邉先生とご挨拶できたことで、天の上の、別世界のことではなく、リアルに先生方が頑張られていることを感じられたので、自分にもまだできることがあるのではないかと思えました。
- 内容充実していて、自身の地域でも同じようにできたらいいなと感じるほど、素晴らしい会でした。多職種で仲間を増やし、それぞれの役割や強みを活かせる地域作りをしている過程がとても参考になりますし、励みにもなります。
- 仕組みではなく、当事者が自分事になるような生活の守り方を考え実践されている「東大阪プロジェクト」。できることから、独自に動き安心して地域で暮らし続けることのしくみを、話し合いと実践で積み上げていかれているところを、とてもリスペクトしています。糟谷さんの「いい感じの弱い繋がり合いと、強みになる強いつながりの実践を見させてもらいました。
[/su_box]
情報交換会の様子もご紹介
私たちが目指しているのは、東大阪から「地域包括ケアシステム」という言葉がなくなる日です。地域で暮らしを支える状態が当たり前になれば「地域包括ケアシステムの完成を目指す」などという言葉を使わなくなるはずだからです。
まだ先は長いかもしれませんが、この日が大きな一歩となったのではないかと感じています。
今回も多数のご参加をいただきありがとうございました!
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
>ぜひご参加ください<<
\人生会議(参加費無料)/
どなたでも参加できます!
アドバンスケアプランニング研修会のご案内です。
【令和5年度西成区在宅医療介護連携推進事業講演会】
主催:西成区役所
日時:令和6年2月14日(木)14:00~16:00
<参加申込不要>
会場:西成区民センター・ホール (大阪市西成区岸里1-1-50)
話題提供:人生会議~西成で最期まで自分らしく「生ききる」ために
講師:医療法人綾正会かわべクリニック 院長 川邉正和・看護師 川邉綾香
概要:
自分自身の将来の変化に備え、「自分は何を大切にしているのか」「どのような人生を歩みたいのか」について考えたことはありますか。
健康な時から人生観や死生観をもとに家族や大切な人、医療・介護の専門職と繰り返し話し合い、意思決定をするためにどうすればいいのか。
一緒に学んでみませんか。
※クリックするとPDFが拡大表示されます