今回は、東大阪市内の池島校区福祉委員会のご依頼を受けて、講演してきました。
校区福祉委員会とは 社会福祉協議会と同じように地域での福祉活動を推進する組織ですが、自治会、老人会、PTAなど地域住民の代表が参加していることが特徴です。
東大阪市社会福祉協議会(COW)を通して、講演のご依頼をいただきましたが、以前に行った講演をお聞きいただき「うちの校区でも開催してほしい」と感じてくださったそうです。
「人生会議」が東大阪の地に根付きつつあると感じています。
「住み慣れた自宅で最期まで療養できる医療」について聞きたい
直接的な依頼主である福祉委員会の高田茂夫さんは、東大阪の地域を支える大切な老人クラブの一つである池島校区老人会の会長を務められています。
「在宅訪問診療のシステム」「病院ではなく、自宅での看取りとは」について、詳しくお話をしてほしいとリクエストをいただきました。「人生会議」を交えながら、他人事ではなく、自分ごととして、考えられるような機会をつくってほしいとの意向は、私たちも望むところです。
「良い話を聞いたなぁ」で終わらせない、「明日から少しでも大切な人に自分の想いを伝えられる、活かせる話」となることをお約束しました。
講演テーマ「人生会議~大切な人に自分の思いを伝えませんか~」
コロナ禍が明けた2023年5月から、私たちは東大阪の老人クラブにお招きを受けて、お話をしてきました。多くの方たちに、人生会議の大切さを伝えることで、それぞれで実践してほしいという思いが私たちの動機です。
- ・私たちが、なぜ、東大阪の地で在宅訪問診療のクリニックを立ち上げたのか。
- ・私たちは、なぜ、人生会議に重きを置いているのか。
- ・私たちは、なぜ、今、東大阪の公民館でお話をし続けているのか。
だれもが自分の人生を「豊かに生ききる」ために、まずは一人ひとりが自分の人生の理想的な終え方を考えることから始まります。
その想いを大切な人に伝えて、地域の方々と共にその希望を叶えていくのです。
万が一のときが起きてからでは、理想の話をしている余裕はもはやないでしょう。自分の意思表示もできなくなっているかもしれません。
死ぬときの話をするなんて「縁起でもない…!」と避けているうちに、話し合いをもつことが難しくなっていきます。
だからこそ、普段の何気ない日常の中でできる「人生会議の実践」をお伝えしています。
講演当日の様子は資料(PDF)も公開しておりますので、あわせてぜひご覧ください。
最期の日を迎えるまでのプロセス
この「病の軌跡」は、これまでも説明に使ってきましたが、死に至るまでにはさまざまなパターンがあることを表しています。
死に至る軌跡が異なることを理解することで、患者さんの状況に応じた個別的なケアを考えることができ、より良い最期を迎えるためのサポートにつながります。
たとえば、「2」の呼吸不全や慢性心不全のパターンでは、病状は悪化と改善を繰り返しながら終末期に向かっていくことが特徴です。
がんの場合の軌跡
一方「1」のがんでは、初期は全般的な機能が保たれているものの、最期の1~2カ月で急速に機能が低下します。
がんは、はじめの数カ月から数年の間、全般的な機能が保たれていますが、亡くなる約2カ月前から変化が現れ始め、1カ月前になると、週単位で状態が悪化し、1週間を切ると日単位で状態が変わってきます。
がんの終末期において、あらゆる面で介護が必要となるのは、主に最期の1~2カ月です。
だからこそ、在宅医療によってしっかりと症状緩和がなされれば、ご家族の介護負担も長期間にはならず、自宅での看取りは十分に可能だといわれています。
ALP(アドバンス ライフ プランニング)
ここで、三浦靖彦先生が提唱されている「ALP(アドバンス・ライフ・プランニング)」についてお話ししておきたいと思います。
私たちは、病気を発症してから「どこでどのように医療やケアを受けたいか」を考えるACP(アドバンス・ケア・プランニング)よりも、もっと前段階である健康なうちから、「自分は何を大切にしているのか」「どのような人生を歩みたいのか」を、人生観や死生観をもとに考えるALPが重要だと考えています。
このALPにおいては、医療・介護関係者だけでなく、地域や家族との関わりが非常に大切になってきます。
まとめ
今回もご参加いただいた皆さまから「人生会議」が難しいものではなく「大切な人に自分の想いを伝えること」だとよくわかったとのお言葉を多数、いただきました。
東大阪が「人生会議」の街となるよう、来年も多くの場所でお話していきます。
そして、ご入用があれば、いつでもどこでもお話しさせていただきますので、私どもまでご相談ください!
お問い合わせフォームは「かわべクリニック」ホームページにも設置しています。