いのちの授業

出会いがつなぐ「いのち」のリレー:エンドオブライフ・ケア10周年の節目で考えた活動の意義

こんにちは。若草第一病院・看護部の山本直美です。先日、一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会の設立10周年記念イベントに参加してきました。今日はその体験から得た気づきを皆さんと共有したいと思います。

出会うことで人が動き出し、ともに未来を変える

これは私たち東大阪プロジェクトのクレドですが、この言葉の意味を今回のイベントで改めて実感しました。私自身、東大阪プロジェクトとの出会いがなければ、エンドオブライフ・ケア協会の存在を知ることもなく、認定看護師や「いのちの授業」の講師資格を取得する決断もなかったでしょう。

オンラインの壁を越えた絆を感じた

会場に足を踏み入れた瞬間、小澤竹俊先生の姿が目に入りました。これまでオンライン研修の画面越しでしか見たことがなかった先生が、目の前で講演している光景に、まるで芸能人に会ったかのような高揚感が湧き上がりました。「あ、オンラインの先生だ!リアルで会えた!」という心の声が、胸の中で弾けていました。

会場を見渡すと、東大阪プロジェクトのメンバー、深谷さんの姿があります。オンラインでは何度も顔を合わせていましたが、実際に会うのは今回が初めて。それなのに不思議なことに、まるで毎日会っているかのように自然に言葉が交わせ、すぐに打ち解けて盛り上がりました。

さらに会場の一角では、大阪から参加したひろさんと関東から来たはなちゃんが並んで座っていました。いつもは画面上の小さな枠の中にいる二人が、実際に隣り合わせている光景に、思わずほっこりとした温かさを感じました。

ワークショップのグループ分けで一緒になったのは関東から来られた方でした。彼女は「東大阪プロジェクトの活動を知り、それがきっかけでエンドオブライフケア協会の10周年記念イベントにも参加しました」と教えてくれました。私たちの活動が人と人をつなぐ架け橋になっていることを実感し、嬉しさがこみ上げてきました。

休憩時間には、「いのちの授業」の資格取得に向けてオンラインで練習を重ねた仲間と初めて対面することができました。画面越しではわからなかった表情の細やかな変化や声の温かみを直に感じ、これまでの絆がさらに深まる思いがしました。

「縁起でもない話をしよう会」で「食のACPイートカード」について話題提供してくださった方とも再会。オンラインでのやり取りだけでは掴めなかった人柄の温かさを感じながら、これからの活動についても語り合うことができました。

会場の隅では医大生の笹川君の姿も。前回のイベントから成長した彼の姿に、未来の医療を担う若者の情熱を感じました。また、日本医療デザインセンターの桑畑さんとも再会。前日にオンライン研修で一方的に桑畑さんの講義を拝聴していたため、つい「昨日もお会いしましたね」と声をかけたのですが、後でそのおかしさに気づいて思わず笑ってしまいました。

この一日を通じて、オンラインという距離を超えて形成された絆が、実際の出会いによってさらに色濃く、温かなものへと変化していくのを感じました。画面上でつながっていた人々が、目の前で笑顔を交わし、言葉を交わす—その不思議さと豊かさに包まれた特別な一日でした。

地域包括ケアを超えた新しいコミュニティの形

東大阪プロジェクトでは、地域包括ケアシステムの理念を大切にしつつも、医療・介護職だけでなく、司法書士、カメラマン、葬儀会社、そして僧侶など、様々な立場の方々と連携してコミュニティを作っています。

私たちの活動は多岐にわたります:

  1. 「縁起でもない話をしよう会」 – オンラインで2ヶ月に1回開催しています。ACPについて話し合うことで、命の終わりについて考えるハードルを下げる場になっています。
  2. 街での交流会と名刺交換会 – イベント後に様々な職種の方々と交流を深める機会を設けています。
  3. まちの保健室 – 大阪府の支援を受け、毎月決まった場所で地域の皆さんの健康相談の場を提供しています。
  4. グリーフケア – 悲しみを抱えた方々が安心して話せる居場所づくりを行っています。
  5. コミュニティ・オーガナイジング – 遊び心ある活動を通じて、地域のつながりを深めています。

未来につなげる「いのちの授業」

昭和の頃。何気なく隣のおばちゃんがお茶を焼いてくれてお世話をしてくれた時代がたしかにありました。しかし、人々の関係性が希薄になった現代、私たちには「ここに行けば誰かがいろんなことを教えてくれたり、自分にとってのメリットになるお話をしてくれる」という居場所が簡単には見つかりません。

だからこそ、私たちがそんな場所づくりを目指しています。

2年前に行った花園駅前での「いのちの授業」そして昨年は東大阪、河内永和駅前で「入棺体験」や「お空の下でのいのちの授業」を実施しました。

組織を超えた自発的なつながり

「なぜこんなにも精力的に活動できるのですか?」私たちの原動力について質問を受けたとき、こう答えました。

「組織の中で働くと嫌な仕事もしないといけないじゃないですか。でもここは専門職が自分のできることをやっていくので主体的に動けるんです。それぞれの専門職がその人にあった関わりをしていく中で、一つのイベントを作り上げていく形です。」

つながりが生み出す未来

オンライン中心の世界になり、直接会う機会は減りましたが、それでも全国各地の仲間とつながれる不思議さと素晴らしさを実感した一日でした。直接会ったことがなくても絆は生まれ、その絆が人を動かし、未来を変えていくことを実感しています。

「出会うことで人は動き出し、ともに未来を変える」—この言葉の重みを、これからも大切にしていきたいと思います。

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