東大阪プロジェクト事務局のいんちょ(院長)こと川邉正和です。
「仕方がない」から「自分もなにかできるかもしれない」、「仲間となら一緒にできるかもしれない」そんな希望を求めて参加したコミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ。参加者の仲間から届いた、とれたての想いを4回に分けてご報告しています。
今回、第3弾では不動産業を通じて地域での繋がりづくりに関心を持ち、東大阪プロジェクトへの参加とともにコミュニティ・オーガナイジングの世界に足を踏み入れた市村さんの感想をご紹介します。初めての体験ながら、自らの仕事や地域活動に今回の学びを活かそうと姿勢が前向きで、意欲も強い方という印象です。

東大阪プロジェクトとの出会いから始まった学び
市村健太郎と申します。本業は不動産業で、初めて「コミュニティ・オーガナイジング」のワークショップに参加させていただきました。
ここ1年程ですが、地域での繋がりづくりや人が集まる場に興味が湧き、仕事(不動産業)を通じて何かできないかと感じていました。東大阪プロジェクトへの参加をきっかけにこのコミュニティ・オーガナイジングという言葉を知ったのです。
「オーガナイジング」と聞いても、普段から聞きなじみのある言葉ではありませんし、本を読んではいたもののふわっとした理解しかありませんでした。しかし実際に体験してみると、誰にとっても身近な「つながる力」を学ぶことができる内容でした。
多様な参加者との出会い
参加者は男女問わず、年齢層も20代から60代まで様々な方々がいらっしゃいました。地域活動に関わる人や会社員など背景は違っても、「人と人をつなぎたい」「地域を良くしたい」という想いは共通しているように感じました。そんなメンバーと、2日間にわたってとても密度の濃いプログラムに取り組むことになりました。

専門用語に翻弄され脳みそフル回転
正直に言うと、最初は「慣れない言葉のオンパレード」で戸惑いしかありませんでした。
「パブリック・ナラティブ」「リレーションシップ」「オーガナイザー」……。頭の中で整理が追いつかず、初日の終わりにはどっと疲れを感じました。脳みそがフル回転…久々に感じる感覚でした。
それでも、ひとつひとつのワークを体験していくうちに、その言葉の意味が少しずつ「感覚」としてわかるようになってきました。
私の心に残った学び
ここからは特に印象に刻まれた学びを紹介したいと思います。
問いかけの力を実感したコーチング
私の最大の学びは、コーチングのパートでした。コーチングとは相手に何かを教えるのではなく、問いを通してその人自身の内側から気づきを引き出すこと。ワークの中で実際に質問し合ううちに、「問いかけの力」の大切さを実感しました。
どんな問いを投げかけるかで、相手の思考の深さや方向が変わってきます。だからこそ、普段の会話でも意識することですぐに応用できると感じました。
自分の原点を探る「ストーリー・オブ・セルフ」
また、自分の人生を振り返る「ストーリー・オブ・セルフ」も心に残りました。これまでの人生で、自分の価値観や行動に影響を与えた出来事を探るワークでは、思いのほか自分の考えがまとまりませんでした。
自分はまだ「なぜ自分が人とつながることに興味があるのか」「どんな原体験があるのか」といった行動の動機までは探し当てられませんでした。でも、それに気づけたことが良かったかなと思いますので、今後も日常の中で少しずつ掘り返していきたいと思います。
チームビルディングで感じた信頼関係の構築
チームビルディングでは、初対面のメンバーとひとつのチームをつくり、仮想のキャンペーンに取り組みました。意見の違いに戸惑うこともありましたが、お互いのストーリーを共有し合う中で、徐々に信頼関係が生まれていくのを感じることができました。
「相手を理解するには、まずその人の背景を知ること」。これは、地域や職場でも欠かせない内容だと改めて思いました。

今の環境に応用できる学び
このワークショップで学んだことは、すぐに今の自分の環境に応用することができるということ。自分の住む地域で、小さなイベントをひとつ企画してみたり、興味のある人に声をかけ、少しずつ輪を広げていくなど。その一歩から、地域の新たなつながりが生まれるのではないかという希望を持つことができました。
体験することに価値がある
最初は長いだろうと思っていた2日間は、あっという間に終わりを迎えました。
「コミュニティ・オーガナイジング」は特別な人がやるものではなく、興味を持ったならまず参加して実際に体験してみるということ。体験することで深い学びにつながりました。
誰もが持っている今までの経験、想い、人との関係性が、オーガナイジングの土台になっています。貴重な機会をいただけて良かったと感じています。
小さな一歩からの自己発見
自分のストーリーを語り、相手のストーリーに耳を傾け、共に考えていく。その中から気づきを得ることもできますし、自分だけの考えでは及ばないことも周りに気づかせてもらうこともできました。
ひとつのきっかけに過ぎないと思いますが、小さな一歩を踏み出して、自己発見してみましょう。
まとめ
不動産業という仕事を通じて地域との関わりを意識していた市村さん。コミュニティ・オーガナイジングとの出会いが、その想いを具体的な行動に変える糸口となったようです。
「自分の行動の動機」をまだ見つけられていないと謙遜されていますが、日常の中でその答えを探し続ける姿勢こそが、真の学びにつながっていくのでしょう。専門用語に戸惑いながらも、体験を通じて「つながる力」を実感し、それを自分の環境に活かそうとする前向きな姿勢が印象的でした。
小さな一歩から始まる地域づくり。市村さんのように、まずは興味を持ったことから始めてみる。その積み重ねが、やがて地域全体を動かす力になっていくのだと思います。