こんにちは、かわべクリニック看護師の川邉綾香です。
2024年1月31日に大阪市にある加美南部小学校にて、2月26日には大阪市にある城星学園小学校にて、小学6年生を対象に「折れない心を育てる いのちの授業」を行いました。
於:城星学園小学校
私たち、かわべクリニックでは一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会が取り組んでいる「折れない心を育てる いのちの授業」プロジェクトに賛同し、定期的に「いのちの授業」を行っています。
>>プロジェクトの詳細はこちらでご確認ください。
この「いのちの授業」も東大阪プロジェクトの活動の柱として行っているものです。
4年ぶりに開催できた「いのちの授業」
かつて大阪赤十字病院で勤務していた2010年から3年間、同学園で「いのちの大切さ」をテーマとした授業を行っていたご縁もあり、2019年11月にも同じく授業を担当していました。コロナ禍の影響で、直接対面しての授業再開は4年ぶりとなります。
このように久しぶりに活動報告ができることを私自身もとても嬉しく思っています。また布施カトリック教会・上田憲神父、城星学園小学校・奥校長にこの場をお借りして深く感謝いたします。
この授業では、いのちにかかわる医療の現場で、苦しみを抱えた人との関わり方から私自身が学んだ内容を含めて生徒の皆さんにお伝えしています。
キーポイントは「人は苦しくてもおだやかでいることができる」ことを学ぶことだと考えています。
授業内容は大きく3つから構成されています。
1. 苦しみから支えに気づく
2. 苦しむ人を前にしてわたしにできること
3. 自分を認め大切にする
授業で使ったワークシートが以下の画像です。これを用いて、枠の中を埋めながら授業を進めていきます。
冒頭で、この授業の目的を紹介します。
『解決が難しい苦しみから学ぶことがある』ことを知ってもらうため、人生の最期に人は苦しいと思うかもしれない。でも普段、私たちが関わる患者さんの中には「穏やか、幸せ、安心」でいる方も多くいらっしゃることを説明します。
子どもたちは最初、困惑したような難しい表情になります。
しかし後半に行われるロールプレイや映像を通して、理解が深まっていくのです。
- 自分を認めてくれる誰かがいれば、きっと自分が大切に思える。
- その時に考える自分の『支え』は何か?
この「支え」を理解すると、自分のことを改めて見つめ直すきっかけになります。
実際の授業の様子は下記動画をご視聴ください。
生徒からいただいた感想を紹介
生徒たちからいただいた熱い感想の一部をご紹介します。ボリュームが多いのですが、私たちが読んでも気づきや学びが得られる内容だと感じました。1つひとつに目を通していただきたいと思いましたので、全文を掲載しています。
• 授業を受け、苦しんでいる人に目を向ける大切さと、目を向ける手段の1つを学べました。自分が困っているときは1人で留めずに相談する勇気をもらえました。このことを心に留め、将業の夢(小児科医)を叶えたいという思いが強くなりました。これから、僕は人に寄りそうことを大切に人生を歩もうと思います。
•「折れない心を育てるいのちの授業」で、一番の学びは苦しみが起きる原因がわかったことです。たしかに希望と現実の開きがあれば苦しみは起こります。自分が苦しくなったときに、「反復」という魔法の言葉があれば、分かってもらえたと思い、少しでも心が軽くなるとも思いました。あと、Nanaさんの「病がくれた勇気/カラー」の「一人でがんばらないで、声にだして仲間を呼ぼう。ほんの少しと勇気をだして。」という言葉がすごくいいと思いました。モノクロの世界から目に映る景色に色がつき、という話がすてきだなと思いました。私もがんばって勇気を出して、みんなに言ってみようと思いました。今日は、ありがとうございました。来年度もよろしくお願いします。
• 今回、命について教えてくださりありがとうございました。たとえつらくても支えてくれる人がいるということがわかりました。みんなそれぞれ、つらくても乗り越えていると思うことができました。本当にありがとうございます。この世界でいらない命はどこにもない。みんながんばって生きていると私は思っています。私もだれかがつらいことがあったのなら私は支えていきたいと思います。今日お話しくださったことはたぶん忘れないと思います。ありがとうございました。
• 私は今回の授業で苦しんでいる人にどのような言葉をかけたらいいのか、どんな言葉を言われたら嬉しいのか、分かったと思います。確かに本当に苦しんでいる人の気持ちを完ぺきに理解するのは不可能だし難しいのかなと改めて考える機会となりました。ありがとうございます。もし自分が苦しんでいたら誰に助けてほしいのかも考えたし、どんな言葉をかけてほしいのかも考えました。わざわざ城星学園に来てくださり本当にありがとうございました。
• 今日は『いのち』について教えていただき、ありがとうございました。支えとなる関係が心に残りました。友達や家族をもっと大切にしなければならないと感じました。私は、中学受験で希望の学校に行けませんでした。けれど、そのくやしさや苦しみが、未来の自分に届くと信じています。これからだれかの支えになる存在でいれるように人を大切にしようと思いました。
• 受験後に来ていただいたので合否のつらさ、悲しみがぬぐわれた気がします。だれもが苦しみをかかえていて.その苦しみから救われるには「この苦しみをわかってくれる人」が必要だと聞きとても感動しました。
• 今日はお話をしてくださり、本当にありがとうございました。卒業が間近に迫っている今、とても心に刺さるお話がたくさんありました。「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」ということです。自分が苦しんでいた時、何よりも欲しかったのは、「自分の苦しみをわかってくれる人だったんだと、気づくことができました。そして、まわりに苦しんでいる人がいるときはこの言葉を思い出し、授業で習った「反復」を使って、苦しんでいる人にとっての「わかってくれる人」になりたいと思いました。この授業で習った言葉を胸に留め、これから過ごしていきたいと思います。
• 自分がつらくなった時に支えになる人、自分の気持ちを分かってくれる人がいればとても落ちつくということに共感しました。私は、いつも母親に話しをきいてもらい、気持ちを落ち着かせていました。なぜ親に話しをきいてもらっているだけで、楽になるか今日のお話しを聞いてよく分かりました。「反復」の力により、自分の苦しみを分かってもらえる。もらっているような気がする。次は、私が話しを聞ける「あの人なら、私の苦しみを分かってもらえるかな」と思ってもらうことができるようになりたいです。
• かわべさんへ 今日お話を聞いて、学んだことが2つあります。一つは相手の気持ちを言葉にすることの大切さです。苦しんでいる人は、自分の苦しみを分かってほしいのだと教わりました。けれど、相手の気持ちを理解するのはとても難しい事ですし、分かってもいないのに「分かるよ」と言うのもかえって相手に失礼です。なので、相手が本心を言うまで、だまって話を聴き、時には反復する事はとても大事だと思います。二つ目は、支えとなる関係の大切さです。私も上手くいかない事があって苦しんでいた時、今思い返せば家族がとても支えてくれていました。その時は気付かなくても、今となってはとても感謝しています。私も誰かの支えとなるよう努力します。お話しをありがとうございました。
• 希望と現実の間に苦しみがあるということ初めて知りました。ぼくは現実はなにもかえられないので希望を低くしたら、苦しみも少くなるかもしれないと思いました。ぼくもこれから苦しみがたくさん味わうと思いますが、希望を低くして苦しみをのりこえていきたいです。とても良い授業でした。ありがとうございます。
• 私はこの講議を聞いで「自分が苦しいと思った時に周りの人にどう伝えるのか」また、「周りの人が困っている時にどうすれば分かってあげられるのか」を学びました。色々なところで病気やその他の事情で苦しいと思っている人を大切に思っている人にこの話をしてあげたいです。私が苦しんでいる時、私を支えてくれた家族や友達に改めて感謝することができました。今回の講議を聞くことができたことも私の心の支えになっていると思います。最後に、私は多くの人の心を落ち着かせ、元気にできるような医者になりたいと思っています。将来、先生のような優しく、周りの人をおだやかにできる医者になりたいです。お話ありがとうございました。
• 今日は「いのちの授業」の講演をしてくださり、ありがとうございました。「いのちの大切さ」を、お話ししてくださるのかと思っていましたが「苦しみ」の話をしてくださったので、通常の「いのちの大切さ」とはちがう視点で、「いのちの大切さ」を学べました。反復をするだけで、相手が「自分の気持ちをわかってもらえた」と思うのは、なかなか不思議ではあるところです。(すごい!)この講演で学んだたくさんのことを、将来、活かしていけるようにがんばりたいと思います。ありがとうございました。
• 今日は、お話をしてくださりありがとうございました。このお話で私はたくさんの事を考えさせられました。私の支えは、1年生のころから大好きなある本です。つらいことがあった時にはいつもその本をよんでいます。人生の半分その本といっしょにいます。「支えがあればつらくない」本当にその通りだと思います。私はその本と共に、これからもつらいことがあっても乗り越えていきたいと思います。
先生からもお言葉をいただきました。
• 本日はありがとうございました。六年生という年齢から家族や友人関係について悩んでいる子も多くいる中で、その子たちにとって希望となるお話になったと感じています。これまで子どもの話を聞くとき、つい言ってほしいであろう言葉を考えたうえで、言葉をかけてしまっていました。それが相手のためになるのでは、と思っていましたが、そうではない時もあったと思います。傾聴とは、時間と忍耐が必要です。我慢できない自分をおさえて、子どもたち一人ひとりの心の声が聴けるような.教員になりたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。
すべての感想を掲載したいと思うくらいのコメントをいただけたことに感謝しかありません。
折れない心を育むために
子どもたちも、自分の力では解決できないさまざまなモヤモヤを抱えています。
解決できないのは、そのモヤモヤとしたものが何なのかを理解していないことが多いためでもありますす。だからひとりで言語化するのも困難です。
そのモヤモヤとしたものが苦しみや悲しみであると理解することで、「折れない心を育てるいのちの授業」という言葉通り、折れない心が育てられると思っています。
彼ら一人一人に「支えがあり、聴いてくれる人」がいるということ、そして、自分が苦しんでいる人を支えられるということが授業を通して伝わったのではないでしょうか。
今後もいのちの授業を、必要としてくれる方々に届けていきたいと思います。
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
\ぜひご参加ください/
【お知らせ・第2回ワンチーム東大阪ICT研修会・布施医師会主催(参加費無料)】
医療・介護・福祉に関わる職種の方でご興味をお持ちの方は、お申し込みください!
【申し込み】
参加を申し込む今回のテーマ:「褥瘡×つながり見える化連携」
褥瘡を通した連携をテーマに、市立東大阪医療センター皮膚科 猿喰浩子先生に講演をいただきます。
日時:2024年6月1日(土)午後5時〜7時 (開場:4時30分)
場所:東大阪商工会議所 4階大会議室(東大阪市永和2-1-1)JR・近鉄河内永和駅すぐ
対象:医療・介護・福祉従事者(地域は問いません)
定員:100名
注意:現地参加のみ(オンラインでの配信はありません)
参加は無料ですが、事前登録が必須です。
みなさまのご参加をお待ちしております!