未分類

“触れるケア”が心と体にやさしく届く!ナーシングセラピー&フットケア実践会(第23回・まちカフェ開催報告)

東大阪プロジェクトの人気企画「まちカフェ」は、地域で暮らす方たちの生活を支えるさまざまな職種の方々が集うトークカフェイベントです。

参加者は医療や介護に関わる職種だけに制限することなく、地域を支える方ならだれもが参加可能です。

毎回「まちカフェ」では懇親会も行っており、こちらも人気。意見交換やお悩み相談、名刺交換など自由に活用していただいています。

話題提供は山口晴美先生による「癒しの手技」

第23回のまちカフェでは、看護師歴40年超、東大阪の地で開業されて20年を超え、地域での活動もされている山口晴美先生に話題提供をしていただきました。山口先生は、東大阪プロジェクトの立ち上げ期から関わってくださっており、コアメンバーの一員でもあります。

山口先生には、開業された想い、届けたい想い、そして本家本元の「シャボンラッピング」についてのお話をお願いしました。

開催日の2週間前には満席となるなど、話題提供への関心、そしてまちカフェの広がりを感じます。

痛みのない優しいケア ~セルフケアにも活かせるヒント~

今日のテーマは「優しいケア」です。後半では「シャボンラッピング」という素晴らしいケア方法についてご紹介します。長年看護師として働いた私は、40代になって「患者さんの体を私のこの手で楽にできないか」という思いを抱くようになりました。最初はアロマセラピーから始めましたが、匂いの問題や倫理委員会の壁など、様々な課題に直面します。

ある時、患者さんの足をオレンジの香りでマッサージしたところ、その場では「気持ちいい、今晩寝れそう」と喜んでくれたものの、後で病棟から「匂いが壁や布団に染み込んで取れない」と連絡がありました。このような経験から「物を使わないケア方法」の必要性を感じたのです。

「ハナ ナーシングセラピー」の誕生

様々なケア方法を研究し、20年前に独自の手法「ハナ ナーシングセラピー」を開発しました。この名前には「ほっと」「癒し」「気持ちいい」という意味が込められています。

呼吸が自然にしやすくなりますし、骨ではなく皮膚や浅い筋肉にアプローチすることから、痛みを伴わずにあらゆる患者さんにも適用できるという特徴があります。

セルフケアの大切さ

緩和ケアに3年間携わった経験から、機械に依存せずにセルフケアを行える重要性を実感しました。マッサージ機器に24時間依存してしまう終末期の患者さんが、自宅に帰りたくても機器を持ち帰れないために施設から出ることができないというジレンマに直面していました。

そこで、家庭にあるカーペットクリーナーのローラーを使った簡単なマッサージ法を教えると、自宅でセルフケアができるようになり、喜んで帰宅できたのです。

ケアする側の体も守る

ケアする側の体も守ることが大切です。アロマセラピーの長期間使用の結果、手荒れやアレルギーが出る看護師が多くいました。患者さんに合わせて無理な体勢でケアを行うと、看護師自身が身体を痛めてしまう場面も。

そのため、少ない力で効果的にケアできる方法を開発。「皮膚が少し動けばいい」という考え方で、力を入れすぎない技術を提案しています。実は無意識に20kg、30kgもの力をかけていることが、体重計で計ってみるとわかったこともあります。

ホリダー技術

講演では「背骨ホリダー」「肩甲骨ホリダー」という技術も紹介しました。これは骨を押すのではなく、骨の周りの皮膚を軽く揺らして動かす方法です。

特徴:

  • 力を入れず、探るように優しく触れる
  • 皮膚の動きを良くする
  • 背骨や肩甲骨の位置を確認しながら、縁を揺らすように触れる
  • 自分が楽な姿勢で行う

観察と目標の共有

患者さんのケアでは、相手が何を望んでいるかを聞き出し、「一番小さい目標を共有する」ことが大切です。時間の制限がある中で効果的なケアを提供するためには、明確な目標設定が欠かせないのです。

患者さんの様子から何が必要かを見極め、アプローチを考えますが、このとき目標がないと「どこまでもやってしまう」状態になり、される側もする側も疲れてしまいます。

健康な体の状態を取り戻す

人の体の状態を魚肉ソーセージに例えると、外側のビニールを剥いた時に「べたっとくっついている状態」ではなく、「つるんつるんになっている状態」がよい状態、健康な状態です。皮膚や筋膜、リンパなどが癒着することなく、スムーズに動くことが大切なのです。

この状態を実現するには、皮膚を軽く動かし、下の流れを良くする「整膚(せいふ=皮膚を整える)」という考え方を取り入れています。

これらの考え方やテクニックは、プロの看護現場だけでなく、ご家族のケアやセルフケアにも応用できる貴重なヒントです。皮膚が少し動けばいいという優しさに基づいた心構えは、日常生活のあらゆる場面で活かせるでしょう。

シャボンラッピング:泡で優しく包み込む新しいケア方法を紹介

シャボンラッピングとは、名前の通り泡で優しく体を包み込み、マッサージをしながら清潔にする方法です。特にアトピーの方や敏感肌の方、高齢者の方にやさしいケア方法として注目されています。

シャボンラッピングの魅力は優しさと効果

シャボンラッピングの最大の魅力は、その優しさと効果にあります。泡で包み込むだけで十分な洗浄効果があり、皮膚への刺激を最小限に抑えることができます。

  • アトピーの方でも使用可能
  • 皮膚を傷つけずに洗浄できる
  • 陰部洗浄も可能
  • 洗髪もできる
  • 寝つきを改善する効果もある

実際に緩和ケアの病院で働いていた時のエピソードとして、脳腫瘍の患者さんの足の爪の間に何かが挟まり、痛みを訴えていたケースがありました。出血しやすい傾向があったため、爪の間から異物を取り出すのは危険でした。そこでシャボンラッピングで優しく洗浄したところ、痛みが和らぎ、その夜はぐっすり眠れたそうです。患者さんのお母さんも喜んでくれて「私もやってみたい」と言ってくださいました。

準備するもの

シャボンラッピングに必要な道具はとてもシンプルです。

  • ビニール袋(100均で売っているカシャカシャするタイプが最適)
  • ボディ用のネット(こちらも100均で購入可能)
  • 普通の石鹸またはボディソープ(ビオレなどの弱酸性石鹸は泡が固まりにくいので避ける)
  • 水またはお湯

泡立て器の作り方

まず、泡立て器を作ります。

  1. ボディ用のネットを分解します
  2. 3本程度に分け、それぞれを引き伸ばします
  3. バラバラにした状態で束ね、真ん中を紐で結びます
  4. これで高速泡立て器の完成です

シャボンラッピングの作り方

次に、シャボンラッピングの泡を作ります。

  1. ビニール袋にボディソープと水を1:3の割合で入れます
  2. 軽く振って石鹸水を作ります
  3. 作った泡立て器をビニール袋に入れ、押したり揉んだりして石鹸水を吸わせます
  4. 隅々まで揉み込んでいくと、モコモコの泡ができあがります
  5. 最後は泡立て器をビニール袋の中に入れ込んでおきます

固形石鹸を使う場合は、お湯の中でネットと一緒にコロコロ転がして溶かし、同じように泡立てていきます。

シャボンラッピングの使い方

さあ、いよいよシャボンラッピングを実際に使います。この手順もとってもシンプル。

  1. 作った泡をビニール袋から取り出し、洗いたい部位に置きます
  2. 泡で包み込むだけでOK!約3〜4分放置します
  3. その後、優しく拭き取るか、少量の水またはお湯で流します

アトピーの方は触れるだけでOK、火傷などのデリケートな部位も置いておくだけで十分な洗浄効果があります。長時間置くとふやけてしまうので、3〜4分程度が目安です。

高齢者施設では、手についた泡を口に入れてしまう方もいるので時間管理に注意しましょう。

シャボンラッピングは洗髪にも使えます。頭皮に泡を乗せるだけで、通常のシャンプーより少ない労力で頭皮を清潔に保つことができます。

シャボンラッピングのやり方、また前半で紹介したホリダーについても、動画で見ていただけると分かりやすいです! ぜひご覧くださいね。

まとめ

シャボンラッピングは、手軽な材料で簡単に作れて、様々な用途に使える素晴らしいケア方法です。医療や介護の現場ではもちろん、ご家庭でも大活躍します。ぜひ一度お試しください。

優しい泡の感触と、その効果に驚かれることでしょう。

「患者さんが足を洗ってもらって『こんばん寝れるわ』って言って寝た患者さんは何人もいらっしゃいます」というエピソードからも分かるように、シャボンラッピングは単なる洗浄方法を超えた、癒しのケア方法です。

交流会での名刺交換も盛り上がりました

たっぷりとケアについて30分学んだ後は、いつも以上に熱の入った交流会が行われました。この交流会の盛り上がりも、まちカフェの名物です。

30秒間の自己PRタイムからの名刺交換会が行われましたが、終了後の集合写真の笑顔が会の成功を物語っています。

次回・まちカフェ(第24回)の参加者募集中

【第24回まちカフェ】弁護士による安心トーク&懇親会

知って安心!もしもの時に役立つ法律の知恵〜交通事故と男女トラブルへの備え〜

次回のまちカフェは、6月7日(土)18時30分から、ゆめふる長田にて。皆さんの参加をお待ちしています!

✨ 参加を申し込む ✨

暮らしを支える皆さま(医療・介護・福祉に限らず)が集うトークカフェイベントです。

懇親会もあり、意見交換、お悩み相談、名刺交換など自由にお話しいただけます。

話題提供:
弁護士法人かがりび綜合法律事務所 弁護士 野条 健人さん

日時:令和7年6月7日(土)18:30~20:00
場所:デイサービスゆめふる長田
東大阪市長田東1-2-34(コインパーキングあり・有料)大阪メトロ・近鉄けいはんな線「長田」駅徒歩1分

定員:40名程度
対象:どなたさまでも(職種は問いません)

会費:1000円(コーヒー+スパイスカレー(ミニサイズ))

・バターチキンカレー(カームスペース・週末のみ営業の名店)

この記事は役に立ちましたか?

参考になりましたら、下のボタンで教えてください。

関連記事

新着記事
会員限定
おすすめ
PAGE TOP
ログイン